新たな力を開発に
~なぜNSLでLSI開発は進化するのか~
NSL(Next Synthesis Language)は、ハードウェア記述言語の一つです。VHDLやVerilog HDLがレジスタ主体で記述するのに比べ、NSLは処理主体で記述できるという特徴があります。
【NSLのメリット】
・ソースの可読性が高い
・開発効率が向上する(開発期間の短縮)
新たなハードウェア記述言語を学習する必要はありますが、NSLはVHDL/Verilog HDLに比べて文法も単純で記述量が少ないため、短時間で学習することが可能です。
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Point.01 NSLとは
「RTL」より一歩先を行く新世代のハードウェア記述言語です。ユーザーエクスペリエンスの向上を目標に、アーキテクト自らが議論を重ねて言語設計を行いました。もちろんLSIの大規模化で求められる生産性向上の効果も期待できます。
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Point.02 NSLのルーツ
NSLのルーツは、CSP(Communicating Sequential Processes,1978,C.A.Hoare)です。同理念をノイマン型コンピュータに採用した代表言語には、トランスピュータ(Transputer)で有名なOCCAM(1983,D.May)、ハードウェアに採用した例としてはSFL/PARTHENON(1985,NTT)があります。
CSPをハードウェアに適用するにあたり、過去の事例を詳細に検討。ハードウェアアーキテクトの観点から、細粒度の並列処理と順序処理の絶妙なバランスを実現した新しい言語体系を確立しました。 -
Point.03 設計資産の活用
NSLはユーザーの資産と経験を大切にします。蓄積したVerilog HDLやVHDLの設計資産は、NSLを使った新世代の設計にそのまま統合可能。さらに検証のためSystemCとNSLを統合することもできます。また、NSLの表面上の表記はVerilog HDLやC言語に類似しており、過去のRTLを利用してきたユーザーの直感を阻害しないよう配慮しています。
NSLと一般的な動作合成言語との大きな違いは、ハードウェア生成をクロックサイクル単位で100%コントロールできる点です。そのためNSLで記述すれば、インターロックを含む高度なパイプライン処理を行い、高機能マイクロプロセッサなどでも簡単に実現できます。